当センターが位置する岡崎市・幸田地区は、救急医療の需要が多く、救急車の受け入れ台数も開院当初の5000台から昨年度は約7500台と増加しており、岡崎市の約半数近くを応需するまでに至っています。
また昨年度から心臓血管外科の併設に伴い、循環器内科の紹介患者数も増加しており、急性期を中心に幅広い症例を経験することができます。
心臓カテーテル治療(PCI)件数は、開院以来増加の一歩を辿っており、昨年度は石灰化病変に対するロータブレーター治療を含め135例を実施しております。また昨年度からは、心臓血管外科併設に伴い、大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁拡張術(BAV)を大動脈弁置換術へのブリッジとして開始、また本年度からは、下肢血管内治療(EVT)を開始しております。
後期研修では、まずカテーテル検査を術者として実施いただきますが、PCIにおいても専門医の指導の下、早い段階から術者として経験することができます。当施設の特徴として、急性心筋梗塞へのPCIが約半数を占めており、後期研修の目標の一つである緊急PCIを早い段階から独り立ちできるだけの経験を積むことが可能です。PCIを実施する上で、血管内画像診断法は必要不可欠ですが、当施設では最新の血管内画像診断装置(IVUS, OCT, NIRS-IVUS)を駆使し、安全かつ予後を見据えた治療を心がけています。また最適かつ安全な手技を施行する上で、IVUSやOCTの読影は重要ですが、カンファランスを通じて専門医の指導の下習得することができます。
カテーテルアブレーションは、一昨年度より志貴医師を中心に開始され、昨年度は42例の心房細動・上室性頻拍に対するアブレーションを実施しております。また、本年からは、不整脈専門医研修施設となり、心房細動に対する新たな冷凍焼灼術・クライオアブレーションを開始しております。後期研修後のサブスペシャリテイとして、不整脈専門医を取得する際にも十分な症例数を経験することができます。
当地区においても、65歳以上の高齢者人口増加に伴い、心不全患者が増加しており、再入院抑制に対する地域全体での診療体制の構築が急務となっています。このため岡崎市医師会とも話し合いを重ね、岡崎市心不全地域連携パス導入を、岡崎市民病院・愛知医大メデイカルセンターとともに本年より開始することとなりました。心不全診療では、ケアユニットでの急性期治療だけでなく、その再発抑制に有用とされる心臓リハビリテーションやコメデイカルスタッフ協力のもと多職種カンファランスを実施し、その体制が整いつつあります。循環器研修では、カテーテル手技だけでなく心不全診療の習得は必須ですが、指導医のもと十分習得することが可能です。
昨年度、名古屋大学心臓血管外科より碓氷章彦教授及び中田俊介医師が着任され、複雑冠動脈病変に対する心臓バイパス手術や弁膜症・大血管及び末梢血管手術が実施されるようになりました。ハートチームカンファランスを通じて、内科外科で入院患者全体の情報共有を行っており、心臓外科提示へのプロセスや術式に関する知識を習得することができます。