どんな病気?
日本高血圧学会の高血圧診断基準では、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。また自宅で測る家庭血圧の場合は、収縮期血圧(最大血圧)が135mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が85mmHg以上の場合を高血圧と診断し、診察室よりも5mmHg低い基準が用いられます。
高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧とがあります。二次性高血圧は、甲状腺や副腎、睡眠時無呼吸症候群などの病気が原因で高血圧をきたすものです。それらの原因がない高血圧を本態性高血圧といいます。日本人の大部分の高血圧は本態性高血圧で、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレスや、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。
高血圧の疫学
120/80mmHgを超えて血圧が高くなるほど,脳心血管病,慢性腎臓病などの罹患リスクおよび死亡リスクは高くなり、日本では高血圧に起因する脳心血管病死亡者数は年間約10万人と推定されています。脳心血管病死亡の約50%が120/80mmHgを超える血圧高値に起因するものと推定されており、これは脳心血管病死亡の要因として最大です。
日本の高血圧者数は、実に約4300万人と推定されており、このうち適切な血圧管理が行えている人は1200万人(28%)で、自らの高血圧を認識していない人は1400万人(33%)、認識はしているが治療を受けていない人は450万人(10%)、薬物治療を受けているが血圧管理が不十分な人が1250万人(29%)と推計されています。日本では3100万人の血圧の管理が不十分と考えられています。
家庭での正しい血圧の測り方
家庭で正しく血圧を測定するには、上腕カフの血圧計を用いることが推奨されています(日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より)。血圧は原則として2回測定し、その平均値を血圧値として用います。1回のみ測定した場合には、その値を血圧値として用います。家庭で測定した血圧によって高血圧と診断する場合や、血圧を下げるお薬(降圧薬)の効果を判定には、朝と晩それぞれの測定値の7日間分(少なくとも5日間分)の平均値を用います。
参考ですが、我々医師が診察室で血圧を測定する場合には、安静座位の状態で1分から2分の間隔をおいて複数回測定し、測定値の差が5mmHg 未満を示した2回の平均値を血圧値としています。
高血圧の予防と治療
高血圧の予防に欠かせないのは、食塩摂取の制限(減塩)です。食塩摂取量の目標は、成人男性で7.5g未満、成人女性で6.5g未満(日本人の食事摂取基準2020年版)とされています。また、日本高血圧学会は、高血圧者における減塩目標を1日6g未満にすることを強く推奨しています。味付けを全体的に薄味にし、かけしょうゆ、かけソースなどの習慣がある人は、つけしょうゆ、つけソースに改めるだけでも食塩摂取量が少なくなります。また、漬け物をたくさん食べる習慣のある人や、味噌汁を1日に2杯以上のむ人は、1回の量を減らすことが大切です。ラーメンなど麺類の汁を全部飲んでしまうと、それだけで6g近い食塩をとってしまいます。一方、野菜や果物、大豆製品に豊富に含まれるカリウムには腎臓から食塩を排泄しやすくする働きがあります(腎臓の病気がある人はカリウム摂取の制限が必要な場合があるので、主治医と相談する必要があります)。また、カルシウムにも血圧を安定させる効果があります。カルシウムは、牛乳や乳製品から摂取すると、より吸収率が高いことが知られています。これらを組み合わせ、無理のない減塩を長く心がけることが高血圧予防につながります。(厚生労働省e-ヘルスネットより抜粋)
本態性高血圧の治療には降圧薬を用いるのが一般的です。降圧薬による脳心血管病抑制効果の大部分は、その種類よりも降圧度の方が重要とされています。高血圧は無症状であることが多く、自覚症状で治療の効果を判断することはできませんが、いつまでも健康で生活することができるよう、未来の自分への投資と考えていただけると幸いです。