心房中隔欠損症(ASD)や卵円孔開存(PFO)に対する経皮的カテーテル治療

1.心房中隔欠損症(ASD)について

ASDは、先天的に左右心房の間の壁に穴があいている病気で、成人以降に発見、診断される事の比較的多い疾患です。急性心筋梗塞などの後天的な病気に比べて、先天的な病気は生まれつき心臓の代償機構が働いている事もあり、自覚症状(の変化)を感じにくいとされています。ASDを通過する左―右シャント(左心房から右心房への血液の流れ)が持続的にありますので、進行してしまいますと、右心不全(からだのむくみや、息切れ、お腹の張る感じなど)や不整脈(心房拡大に伴って起きる事が多いです)、肺高血圧症(肺血管障害が進行して起きる事があります)などを発症する可能性があります。一般的に最大径10 mm以上の二次孔型心房中隔欠損症はカテーテルによる治療適応となる場合が多いです。径が5 mm以下といった小さい欠損孔の場合でも、奇異性塞栓症(足などに出来た血栓が心房の欠損孔を通過して脳などの全身に飛んでいく病態)を発症した場合などに、治療適応であると考えられています。

2.卵円孔開存(PFO)について

PFOは、通常出生後に癒着する心房の二枚の壁において、癒着が不完全なために成人期以降にも開存しているものです。健常人でもおよそ20~25%の人(4~5人に一人程度)にPFOを認めるとされています。通常PFOがあっても無症状で治療を要する必要はありませんが、卵円孔の形態や、腹圧のかかる動作を行った場合などに卵円孔を介した右-左シャント(右心房から左心房への血液の流れ)が生じる可能性が指摘されています。足などに出来た血栓(血のかたまり)が、卵円孔を通過してしまった場合に、奇異性脳塞栓症の原因となり得ます。そのような患者さんを対象とした2017年に北米から公表されました無作為化大規模臨床試験で、従来のお薬だけの治療と比較してPFOに対するカテーテル閉鎖術の脳梗塞再発予防効果が示されました。

3.ASDやPFOに対する経皮的カテーテル治療について(図1)

ASDとPFOに対する治療は実施可能施設の基準や治療の細かい部分は異なりますが、似ている部分もあり、以下一緒に記載致します。当院では両方の治療が可能です。

かつてはこの領域には外科手術しか治療法がありませんでしたが、最近では外科手術に比べて比較的合併症の可能性が低く、侵襲の少ないカテーテル治療を検討するようになっています。麻酔法は、全身麻酔と局所麻酔両方選択可能で、患者さんの状態やご希望に応じて、ご相談致します。まず足の付け根から細いカテーテルを挿入し、大静脈を通って心臓まで進めます。放射線透視と、心エコー(経食道および/または心腔内の心エコー)の画像を見ながら、専用の閉鎖栓でASD(図2)やPFOを挟み込んで閉鎖します。患者さんにとっても入院期間の短縮などのメリットがあります(一週間以内)。

図1:ASD閉鎖システムの全体図

心房中隔欠損(ASD)の心臓

心房中隔欠損(ASD)の心臓

閉鎖栓の配置した心臓の図

閉鎖栓の配置した心臓の図

図2:日本で使用可能なASD閉鎖デバイス(3種類)

アンプラッツァー閉鎖栓(ASO)

アンプラッツァー閉鎖栓(ASO)

フィギュラ・フレックスII閉鎖栓(FSO)

フィギュラ・フレックスII閉鎖栓(FSO)

2016年2月より使用可能

カーディオフォームASD閉鎖栓

カーディオフォームASD閉鎖栓

2021年8月より使用可能

形状記憶合金:メッシュ状、ニチノール製(ニッケル・チタン)→MRIも施行可能